「…もしや、これは!?」
ネルフのある一室でリツコはモニターを見ながら叫んだ。
ここはネルフ開かずの危険区域、またの名をリツコの研究室。
満月の夜の日、ココから悲鳴が聞こえるとか聞こえないとかそれはまた別の話。
リツコは不気味な笑みを浮かべながら受話器を手に取った。
「コレは早急に実験すべきね。マヤ、明日シンクロテストを開始するわ、用意をお願い」
受話器の奥からマヤの疑問符が浮かび上がったような声が聞こえてくる。
「シンクロテストですか? でも明日はレイちゃんの起動実験ですよ?
それにこの前倒した使徒の解析もまだ…」
「構わないわ。どうせ、アレ以上何も分かりはしないわ」
(まあ『アレ以上』って言っても、はぁ何も分かってないんだけどね)
リツコは心の中で付け加えた。
「分かりました、これから用意に掛ります。先輩も手伝ってくださいね」
「ええ、すぐ向かうわ」
受話器を置いたリツコはまた、不気味な笑みになるのを抑えることができなかった。
「コレが成功すればかなりの新発見だわ。ああ、科学者の血が騒ぐわ」
リツコは身と白衣をを翻して研究室を後にする。
―実験ホール管制室―
リツコが管制室に入ったときには慌しく作業が行われていた。
全員ほぼ徹夜状態なのに、コレだけの作業ができるのは選ばれた人材のネルフスタッフであるからだろう。
リツコは一番慌しく手を動かしている伊吹マヤの後ろから手を出し。
神業的なスピードでキーボードを叩く。その指先は残像で五本の指が十本に見える。
「マヤ、こっちの方が早くてよ」
「先輩、さすがですね」
リツコの手の動きに感嘆の声を出すマヤ。
その言葉にリツコはその言葉におごる事もなく黙々と作業を済ました。
大体の作業が終った所でリツコはまだ作業をしている一帯に足を進めた。
そこで作業をしていたのは、モニターを凝視しながら作業に没頭しているロンゲで
趣味はギターと言う若き青年、青葉シゲルに
リツコはシゲルの肩に手を置き話し掛けた。
「青葉君、ちょっと良いかしら」
「あ、ちょっと待ってください。すぐ終りますから」
シゲルは首だけ振り返り急いで作業を続けた。
一、二分で作業は終わりシゲルは立ち上がりリツコと向かい合った。
「赤木博士なにか?」
「ちょっと話があります。こっちにきて」
リツコは数歩下がり、シゲルを手招きする。
シゲルは首をかしげながら、立ち上がった。
立ち上がり、一歩足を踏み出した所で、急にシゲルの床がなくなった。
それは比喩的表現ではなく、本当になくなったのだ。
「え?」
床がなくなり、三メートル四方の穴ができていた。
いきなりの事で単語を発する暇もなくシゲルは重力に引かれ穴の中に消えた。
シゲルが落ちた直後に穴は何事もなかったように消えた。
リツコは穴があった場所の立ち、してやったりと笑った。
(捕獲完了ね。後は実験のみだわ)
この事が起こったのはほんの数秒の出来事で作業に勤しんでいた
他のオペレーターたちは誰一人として気付くことはなかった。
―リツコの研究室―
シゲルは目を覚ました。いきなり穴に落とされてからずっと気を失っていたようだ。
体を動かそうと体を捩ろうとしたのだが、体で動かせる個所は指と首だけで他の場所は動きそうに無い。。
シゲルは張付けのように拘束されていたのだ。
「なんだってんだよ、ちくしょう」
悪態をつきつつも首だけを動かしながら辺りを確認する。
目の前はガラス張りになっており、その奥には機材や書類の山が見えた。
そして、ある一角を見てシゲルの顔は驚愕に引きつった。
「なっ! アレはまさか!」
シゲルが発見した物とは猫の小物に愛らしく眠っている小猫の写真、猫のロゴの入ったコーヒーカップ
その猫グッズが指し示す物は一つしかなかった。
シゲルは気付いてしまった、ココがリツコの開かずの研究室だということを
とにかく、今は自分の拘束具をはずそうと体をよじるが
鉄の拘束具を引きちぎるのは人間の力では不可能だった。
ため息をつきながら脱力しているとガラスの奥の扉が開いた。
そこから入ってくる人物は一人しかいなかった。
白衣を羽織った金髪黒眉毛の女は悠然と中に歩いてシゲルを一瞥した後に言った。
「気分はどうかしら青葉君」
「捕まってなければ、何事もなく、徹夜で眠いだけなんですけどね。俺に恨みでもあるんすか」
シゲルは皮肉たっぷりで言ったのだがリツコは気にもせず
書類の束の下の方から一枚の紙を取り出した。
シゲルの場所からでは何が書いてあるか分からなかったが
よく分からない文字の羅列であり、何かの表のようだった。
「で? 俺は何で赤木博士に拉致監禁されているんですか?」
声は届いているようだが、リツコはいまだに
持っている紙に視線がいったままぶつぶつ時折眉間にしわを寄せながらなにか嘆いている。
「赤木博士!!」
「ん? なに、青葉君」
少し大きく叫ぶようにリツコの名前を呼ぶシゲル。
その声にリツコは今気付いたように返事をする。
どうやら、聞き流していたらしい。
「俺はいつ開放されるんですか?」
シゲルはさっきと内容の同じ質問をした。
もしかして、このまま開放されないんじゃないかと思っていると
リツコの返事は意外な物だった。
「もういいわよ、仕事に戻って」
リツコは手元のボタンを操作する。
すると、シゲルの拘束具がカチャリとすべて外れる。
自分の体が何かされていないか体を見回す。
どうやら、機械になったとか、ネコミミがあるとか、しっぽが生えたりはしていなかった。
そんな自分の姿を想像して全身鳥肌が立ってしまったが何もなっていなかった。
それを確認したシゲルは研究室を後にした。
扉が閉まった中でリツコは一枚の紙を見ながら無気味に笑っていた。
紙にはシゲルの顔の写真に、シンジとレイのシンクログラフだった。
三本の線が折れ線グラフのように描かれている。
そして、一本だけずば抜けて高い位置にある、それに繋がっていたのは
『AOBA
SHIGERU』の名前だった。
「コレは、面白いことになりそうだわ」
リツコは紙を見ながら笑いを噛みしめていると電話が鳴った。
それを取る、電話の相手はマヤのようだ。
「マヤ? ああ、レイの起動実験? わかったわ、今から向かうから」
リツコは受話器を一度置き、もう一度電話をかけた。
その電話に出たのは、やけのごつい男の声、ネルフ保安部の声だった。
「保安部? 今から速やかに、青葉二尉を拘束し気絶さして、初号機のエントリープラグに詰め込んで」
「青葉二尉をですか? …了解しました」
受話器から聞こえるごつい声の保安部の男は少し困惑気味に聞いたが
すぐに、詮索を止めて了解した。
電話を置いたリツコは口元に手を当てながらニヤリと唇を歪めた。
「ああ、楽しみだわ。青葉君には悪いけど付き合ってもらうわよ。私の実験に」
独り言をいい、リツコは白衣を翻し実験場に向かった。
リツコは実験場に向かう途中、ずっと顔が緩んだまま直らなかった。
それを見たネルフ職員数人が錯乱して病院送りになってしまったのは余談である。
あとがき
どうも、私の事を知っている人はこんにちわ
知らない人は始めましてネガです。
このあとがきを読んでくれているという事は私の話を読んでくれたという事ですね。
ありがとうございます。まだ一話で何がなんだかわからないですけど
末永く見守ってくれたら嬉しいです。なるべく早く投稿したいと思いますので
見限らずにお付き合いください。読んでくれた方ありがとう。
次も読んで下さい。ではまた次のお話で。