「保安部? 今から速やかに、青葉二尉を拘束し気絶さして、初号機のエントリープラグに詰め込んで」
そのリツコ言葉に保安部は動き出した。
青葉シゲルを捕まえるために、自分達の給料のため。
そして一番重大なのは、自分達が改造されないためにも、
全力でシゲルを捕獲せねばならなかった。

「お前達、目標は青葉シゲルニ尉だ。この仕事を失敗したらどうなるかわかるな?」
「隊長、どうなるんですか?」
保安部の隊長は額に一筋の汗を流しながら親密にかつ畏怖の篭った声音で言う。

「俺達、保安部第三チームは、今回失敗した場合、赤木博士によって猫猫チームに改名される」
「ね、猫猫ちーむ……」
「それだけじゃない、俺達は皆改造され、頭にネコミミ、ケツには尻尾を生やされてしまう」

その言葉を聞いた瞬間、残りの保安部四人は表情を引きつらせた。
(あの隊長がココまで脅えている。これはマジなんだ、失敗したら辞職するというぐらいに)
「絶対、絶対に捕まえるぞ」
「オオぉー!!」
気合全開で保安部第三チームは動き出した。

 

 

 


新世紀エヴァンゲリオン 《GET ON THE EVA QUICK!!》

第二話 シゲルのシンクロテストぉ!?


 

 

 

シゲルはリツコの研究室を出て、もう一度体を見回していた。
「俺、改造されてないよな?」
誰かに聞いたわけではないが声を出していう。
もちろん返事など帰ってはこない。

ぐるりと体を見回してみるが何も変わったとこは無い。
服を脱がされた形跡もない、顔もぺたぺた触って確認してみるが何も変わってるようには思えなかった。
「なにもないならそれでいいか、仕事に戻ろう」

ポケットに両手を突っ込み、管制室に戻ろうとした時
目の前に保安部が立ちはだかった。

「青葉シゲル二尉ですね?」
(そんなの見れば分かるだろ、初めてあうわけでもないのに)
シゲルの正面に現れた保安部の数人はシゲルの顔なじみだった。
なぜか全員、鬼気迫る表情をしていて切羽詰った表情もしている。
そんな表情が少し気になったが、無視して肩を竦めて言った。

「俺がマコトにでも見えるか?」
シゲルの言葉に保安部全員はこそこそ何かを話していた。
その会話の内容はひどく消極的なものだった。
シゲルには聞こえてはいなかったが。

「隊長、ほんとに大丈夫なんすか? 青葉さん結構強いんですよ」
「そ、そうなのか、だが、ココまで来て帰るわけには行かないだろ。それとも猫猫チームがいいか?」
「絶対にイヤです!!」

保安部の意思が固まった時、またシゲルに向き直った。
そして、シゲルを四方に四人、囲むように立ちはだかった。
「何かの冗談か?」
シゲルは自分を取り囲んでいる四人と命令を出している保安部を見渡した。

「冗談などではない、コレも仕事だ。やれ」
その言葉とともに四人の保安部がシゲルに襲い掛かった。
そう、本当に保安部第三チームの人々からしたら冗談ではないのだ。
改造されるかされないか、仕事を続けるか職を失うか。まさに死活問題なのだ。

襲いかかって来る保安部に対してシゲルは咄嗟に身をかがめ
後ろから襲い掛かってきた保安部に水面蹴りを見舞う。
その水面蹴りを食らった一人の保安部は派手に倒れる。
倒れた保安部の上を跨ぎ、シゲルは腰を落とし拳を前に突き出し構える。

「誰の命令だ、人によっては無抵抗で捕まっても良いぞ」
シゲルは憎々しげに保安部を見た。
その間に、水面蹴りを決めたいきなりの攻撃にひっくり返った保安部の一人が
飛び起きてシゲルを睨み付けた。
明らかに怒っている、大きく息をしていて腕も震えている。
実際その震えは、シゲルの力が予想以上に高く、ネコミミ尻尾に一歩近づいたためであることは
残りの保安部四人にしか分からなかった。
かなりの興奮状態で今にも錯乱して襲い掛かってきそうな状態だったが
保安部隊長が興奮している保安部をなんとか押しとどめ、シゲルに向かい合い言った。

「命令は赤木博士からだ」
「赤木博士が? なら、掴まるわけには行かない却下させてもらう」
(今度掴まったら本当に改造されかねないからな)

シゲルは即答して、地を蹴り保安部の横をすり抜けようとした。
だが、保安部はシゲルに立ちふさがり攻撃の構えを取った。
サングラスをかけていて分かりにくいが、保安部は皆半泣き状態で構えている。
道を塞がれてしまい立ち止まるしかなくなったシゲルは後ろに跳び退り距離をとった。

「通さないきか? そんなことしたら」
めんどくさそうに頭を掻きながら、保安部を睨みつける。
「力ずくで行くぞ」

すべての言葉を言う前にシゲルは走り、助走をつけた拳を腹に叩き込んだ。
「ぐぅ!」
シゲルの予想外のスピードに腹筋に力を入れる暇もなく拳を腹に数発貰う。
くぐもった声を出し保安部の体がくの字に折れる。
そこに、拝むようにして組んだ手を首筋に叩き込む。

「がっ!」
保安部の一人は白目をむいて気絶した。
完全に気絶する前に『ね、ネコミミはイヤだ』という嘆きが聞こえたが
シゲルには理解することなどできやしない。
いきなりの出来事に一歩も動くことのできなかった残りの保安部は目を見開き
急いで気を引き締める。

「今更、気を締めても遅いんだよ」
気を引き締めた瞬間、保安部の視界からシゲルの姿が消えた。
その時、保安部の一人が顔に横殴りの衝撃を受ける。
攻撃を受けた保安部は自分になにが起こったか分からぬまま
横からの衝撃の受身を取ることもできず、壁に頭をぶつけ昏倒した。
やはりこの保安部も完璧に気絶する前に『尻尾なんて、似合うわけ……』と謎の言葉を残し昏倒した。

「それで保安部をやってるのか? 減棒物だぞ。これは副司令に相談だな」
シゲルはネルフスタッフの制服の胸ポケットからメモ帳を取り出しすらすらと書き込み
保安部全員に見えるように、掲げて見せた。そこには
『保安部第三チーム、青葉シゲルニ尉の喧嘩殺法にもかなわない』
と大きく雑な字で書かれていた。

横殴りの攻撃は、シゲルのハイキックだった。
一人目を倒した時点ですでに蹴りのモーションに入っており。
ハイキックを顔に食らってしまったということだ。

ものの数秒で、保安部二人を撃退したシゲルに
残りの保安部はシゲルに恐怖感を抱いていた。
腰が引けて先ほどより、勢いがなくなっている。
だが、保安部も必死だ、もしシゲルを捕まえられなかったら猫猫チーム配属になり
ネコミミに尻尾を生やされてしまう。

「お前達、武器の使用を許可する。確実に捕まえろ」
隊長が言うと、残りの二人は懐から無骨なスタンガンを出した。
スイッチを入れて、二人が同時に駆け出す。
その直前で、保安部がアイコンタクトで合図を出していることにシゲルは気付かなかった。

保安部の表情には鬼気迫るものがあった。その表情に少しシゲルは物怖じしたが
攻撃の軌道しっかりとを読み、すばやく突き出されたスタンガンをシゲルは何とかかわす。だが
小さな銃声がして、気付いたら自分の胸に何かが刺さっていた。

「なっ、き、お前……」
シゲルが見たのは、スタンガンを持っている二人の後ろに拳銃を構えている隊長の姿だった。
「ただの麻酔銃です、レベルも1ですから。ご心配なく」
保安部隊長は懐に武器を戻しながら言う。
シゲルはその言葉を最後に聞き意識をたった。
その後、保安部第三チームは全員祝杯をあげたことは言うまでもない。

 

―エントリープラグ―

 

シゲルが目を覚ますとそこはエントリープラグだという事はわかった。
起き上がろうとしたのだが体が動かない、目を自分の体に向けると
動けない理由がすぐに判明したのだがどうすることもできない。

「今日、二回目だな」
自嘲しながら、体を見る。シゲルの体はロープで縛られており、両手も後ろで縛られている。
ため息をつきながら、辺りを見回すとスピーカーの音声が入った。

「青葉君、調子はどうかしら?」
モニターにはリツコの顔が見えている。
シゲルはジト目でモニター越しにリツコを見ながらため息をついた。

「赤木博士、今日、二度目ですよ。俺に何か恨みでもあるんすか?」
「いいえ、ないわ」
リツコは悪びれる様子もなく、端的にいった。
何故かその表情は恍惚としていてシゲルの背筋に悪寒が駆け抜ける。

「こ、この縄、解いてくれませんか?」
「いいわ、動かないでね火傷するわよ」
リツコがなにやらキーボードを操作する。
その時、シゲルを縛っていた縄が小さく爆発して焼き切れた。

自分の手を見てみる、縛られていた手首の部分が擦れていたためか少し赤くなっていたが
大して気にするほどではなかった。
ぐるりと体を見回してみる、眠らされていたので、何をされたか分かったもんじゃない。
その様子を見てかリツコがしゃべった。

「大丈夫よ、まだ、なにもしてないわ」
「『まだ』って、何かするつもりだったんすか!!」
声を荒げるシゲル。エントリープラグの操縦レバーをダンッと叩く。
リツコは慌てた様子もなく、目だけ笑い言った。

「何かってそれは私が、あなたに似合いそうな、ネコミミとしっぽを……」
「やめろー!!」
何故か顔が上気しているリツコにツッコミを入れ
頭を抱えてモニターに写っている苦痛の源に悶えた。

リツコがウットリし、シゲルが悶えてから三十分の時がたった。
いい加減悩むのをやめたシゲルはまだウットリしているリツコに
疑問に思っていたことを話した。
「赤木博士、何で、俺をココに乗せたんです? しかも無理やり」

リツコはその言葉にウットリした顔から急に真面目な顔になって
人差し指を立てながら簡単に説明した。
「それは、青葉君。あなたがエヴァに乗れる可能性を持ってるからよ」
「へー、俺がエヴァにって、エガッ!?」

シゲルはエントリープラグの中で立ち上がり思い切り頭を痛打する。
プルプル震え涙目になりながらモニターのリツコに問いかける。

「いつつ、一体どういうことなんすか」
頭を擦りながら言う、どうやらたんこぶができたようだ。
涙目になりながらもリツコの言っていることはまだ理解できないようだ。

「言ったそのままよ。青葉君、あなたにはエヴァに乗る資質があるの、おわかり?」
そういい、リツコは何かが書かれている紙に目を落とした。
シゲルは未だに頭を擦りながら言った。

「俺が、エヴァに乗れる可能性があるのは分かりました。でもなんで、
保安部を使って無理やり乗せたんすか」

「それは、あなたが逃げるかもしれないからよ」
「事情を話してくれれば逃げはしませんよ」

そのシゲルの言葉にリツコは驚いたように眉を上げる。
そして、軽いため息と残念そうな表情で言う。
「でも日向君は一目散に逃げていったわよ」
「マコトになんていって誘ったんですか」

リツコは手で口元を隠し笑いながら言う。
「私はただ『日向君、私の実験に少し付き合ってくれない。フフフ』と言っただけよ」
「そんないいかたしたら、誰でも逃げますよ」

フフフとリツコが言った瞬間またシゲルの背筋にまた悪寒が駆け抜けていった。
シゲルはため息をつきながら、ため息の元凶を見た。
元凶、赤木リツコは楽しそうに、キーボード操作をしている。
シゲルはエントリープラグから出ようと、ハッチに手をかけた瞬間、手が痺れた。

「痛っ、赤木博士!!」
モニターのリツコを睨みつけるシゲル。
なぜ電流が!? と視線で訴える。ちなみにこの電流はチルドレンが途中で逃げないように
するためのものである。

「何かしら、青葉君」
リツコは何食わぬ顔でとぼけた。そのまま、またキーボード操作を始めた。
シゲルはハッチを忌々しげに睨みつめながら、諦めてシートに腰を降ろし腕組んで目を瞑る。

リツコはまだ、何か操作している。
五分ほどしてリツコの手が止まりシゲルは信じられない言葉を聞いた。
「じゃあ、青葉君、起動実験始めるわよ。マヤ」
「な! 何言ってるんすか、インターフェイスもないし、プラグスーツも着てないんすよ」
「大丈夫、理論値ではそのままでいけるわ」

確証のないことを言うリツコにため息が止まらないシゲル
その時、その会話を聞いていたマヤが驚きの声をあげた。
「な、何で青葉君がエントリープラグの中に? 先輩、起動実験ってまさか!?」
「そうよ、青葉君に乗ってもらうの」
「そうなんですかぁ、頑張ってね青葉君」

簡単に納得してしまうマヤにももう反論する元気もないシゲルはやけになって叫んだ。
「ああもう! 分かったからさっさと始めてくれ」

「主電源接続」

「全回路動力伝達」

「第2次コンタクト開始」

「A10神経接続異常なし」

「初期コンタクト全て異常なし」

「双方向回線開きます」

エントリープラグの中が輝き、LCLが注水される。
「気持ち悪っ」
シゲルの嘆きなどまったく無視された。そんなことシゲルは承知していたのか
特に表情は変わらないでモニターを凝視して背伸びする。

俺なんかが本当にシンクロできるのか、と思いながらエントリープラグ内を見回し
ため息交じりに肩の力を抜いてシートにもたれかかった。
「できれば儲け、できなければいつも通りか」

どちらが、シゲルにとって良いかは分からなかったがチルドレン
シンジとレイ、そしてココにはいないセカンドチルドレンアスカのことを考えたら
自分がエヴァに乗る方が良いだろう。
レイとアスカはどうか知らないが、シンジはエヴァに乗りたがってはいない
シゲルは自分が変われるなら変わってやりたいと思っている。

「やってみないことには分からないか」
そう心を叱咤させ落ち着かない自分を落ち着かせようと瞳を閉じて
深呼吸した。LCLの中なのでその意味は全くもってなかったが気持ちの問題なので意味はあった。
多少、落ち着きを取り戻した。
こうしてシゲルのシンクロテストが始まりを告げた。

 

 

 

 

 

 



あとがき

どうも、二話をお読みになられた方ありがとうございます。
私の名前はネガです。
如何だったでしょうか、一話に比べてギャグを強くして書いて見ました。
保安部第三チームの人々また出します。
きっと出します。
次の投稿はいつになるか分かりませんがよろしくお願いします。m(_ _)m


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